青木琴美先生ファンの皆様、はじめまして。
「僕は妹に恋をする」のドラマCD制作担当の小笠原と申します。
僕は妹に恋をする―――。
こんな衝撃的なタイトルは一度目にしただけで忘れることはできません。
私は現在「僕は妹に恋をするドラマCD」の制作に関わらせていただいておりますが、
まだこの仕事に関わるずっと前、店頭で初めて「僕は妹に恋をする」の単行本を目にしたときから
今に至るまでずっと、この作品のタイトルには同じ印象を持ち続けていました。
それを一言で表すなら―――「切ない」。
辞書によると、「切ない」の意味は以下の通り。
(1)悲しさや恋しさで、胸がしめつけられるようである。やりきれない。やるせない。
(2)からだが苦しい。
(3)身動きがとれない。どうしようもない。
(大辞泉・小学館より)
また、この「切」は「切る」という意味ではないのです。
(1)心に強く感ずるさま。身にしみるさま。痛切。
(2)一生懸命事を行うさま。熱心。
(3)物事のさし迫っているさま。緊要。
(4)(「せちに」の形で) (ア)きわめて。特に。(イ)どうしても。是非とも。
(大辞林・三省堂より)
辞書に載っている「切ない」「切」を意味する言葉たち。
それなのに、どれも妹に心を奪われてしまった兄・頼のことを指し示しているような気がしてきませんか?
それはきっと漫画全編を通して、常に頼という少年が身を切られるほどの思いを
目いっぱい体の内側に溜め込みながら走り続けているからではないでしょうか。
「僕は妹に恋をするドラマCD」を制作するにあたり、この「切なさ」を漫画そのままに、
いや、それ以上に聴いてくださる皆様に伝えなければ!と強く思っていました。
ちょっとでもファンの皆様に、原作コミック読んで知っている懐かしい「切なさ」に加えて、ドラマCDを聴いて初めて知る「切なさ」を体感していただければ幸いです。
と、まぁ、ここまでは真面目に文章を書かせていただきましたが、唐突ですがここからはドラマCDの裏話を書かせていただきます!!
本格的に春の日和になってきて…なぜか夏日になってしまった某日。
「僕は妹に恋をするドラマCD I V」のアフレコ収録が行われました。
初めて利用するアフレコスタジオだったということもあり、アフレコが開始されて少し経過したところで青木先生と担当さんが仲良く来られました。
しかし、青木先生の様子が少しおかしい。……伺ってみると、先生はまだ状況を飲み込めておらず、
「私、今日フランス料理を食べに行くって言われて出てきたんですけど…」
ドラマCDに収録されています青木先生とキャスト陣の座談会でもおっしゃられていますが、
とっても純粋な先生は巧みな担当さんのウソを信じてアフレコスタジオまで来られたのでした。
どおりで、上品な「夏のお嬢さん」風のピンクのワンピースを着ていらっしゃると思いました。
担当さんは犬のイラストの赤いTシャツというのが、また暗にアフレコを意味していたようですが…。
……過去2回(※少女コミック本誌の付録CDのアフレコ収録を含めると3回)、アフレコやら座談会やら、何も知らされずに突然出演させられてきた青木先生。
今回はさすがに3回目ということもあり、青木先生の警戒心は以前よりも増しているはず。
サプライズを仕掛けるのは難しいに違いないと我々ドラマCD制作の人間は諦めていたんですが……。
まただまされてしまいましたね、先生。
おそるべし! 担当さん!!
しかし、こんなにピュアなハートを持った可愛らしい青木先生が、こんなに狂おしくて愛おしい兄妹の愛の物語を繊細に、力強く描いてらっしゃるのかと思うと、そのギャップに改めて漫画家・青木琴美先生のすごさを実感せずにはいられません。
実に奥深い……!
さて、アフレコにはドラマCD第3弾に引き続き、第4弾でも青木先生にドライバー役で出演していただきました。「ええっ! できませんよ〜」と不安気な先生を半ば無理矢理アフレコルームに押し込めて、アフレコスタート。
場面は頼がアルバイトしているガソリンスタンドです。
森久保さん、中原さん、鳥海さんを含め、大勢の声優さんがすでにガソリンスタンドのガヤ(=周囲の人々の声)のためにアフレコルームに入っていたので、優しく青木先生をマイクの前に導いて、教えてくれます。
なかなかタイミングが難しかったようですが、青木先生ががんばってくださったので、なんとか順調にアフレコは済みました。青木先生、本当にありがとうございました。
それにしても、そのときのガソリンスタンドのガヤはすごかったです。
まるで何かの祭のようにえらく賑やかで、店員もドライバーもわんさかいるような、大盛況なガソリンスタンドでした。残念ながら、製品ではその部分は立派なガヤとして小さく聞こえるだけですが……。
個人的にオススメなのは、頼の退学が決まって、矢野を相手に頼が泣くシーンです。
森久保さんの真摯な頼の演技に、思わず胸の辺りをギュッと握ってしまうかもしれません。
聴いてくれた皆様がそうなるといいなぁと思っております。
そして、頼と郁の母親・咲と森 杏沙の父親・裕吾の意味深なやりとりのシーン。
とってもアダルトな雰囲気ムンムンで、特にお昼の奥様は必聴です!
上記のシーンだけでなく、ドラマCD全体を通して、素晴らしい声優陣による聴きごたえのある内容になっていますので、興味を持たれた方は是非「僕は妹に恋をするドラマCD I V」を聴いてみてください。 原作もいよいよラストスパートです。
ドラマCD制作を通して、郁と頼の愛の軌跡をたどる作業をしてきた私としましては、
どうかどうか、二人にとって最良の最後になりますようにと祈ってやみません。